サウジアラビア ~ ゴールドマン・サックスがリヤドに地域本部を開設

サウジアラビア

2024年5月23日、米国に本社を置く投資銀行ゴールドマン・サックスは、サウジアラビアの首都リヤドに地域本部を設立するための許可をサウジ投資省から取得しました。これは、ウォール街の銀行として初めてサウジアラビアに地域本部を開設するという歴史的な出来事です。

経済改革と金融市場の深化

サウジアラビアは大規模な経済改革を進めており、金融市場の深化が進行中です。ゴールドマン・サックスのリヤド本部設立は、この流れに対応したものです。しかし、具体的に何人のスタッフが配属されるのか、銀行の中東業務のどの程度がリヤドに拠点を置くことになるのかは、現時点では明らかにされていません。

ゴールドマン・サックスは、この報道についてコメントを控えていますが、昨年にはアラブ首長国連邦のアブダビ・グローバル・マーケット(ADGM)にも新オフィスを開設しており、中東地域への積極的な展開を見せています。

移転規制と経済政策

サウジアラビアは、UAEに対抗するために外国資本を誘致し、資本市場を深化させたいと考えています。2021年には、国営契約に関する新たな規制を導入し、「経済漏出」を制限することを目指しました。この規制では、企業はサウジアラビアに地域拠点を持ち、他国を統括する幹部を含めて少なくとも15人の従業員を雇用することが義務付けられています。

多国籍企業の動向

多国籍企業がサウジアラビアに地域本部を置く期限は2024年1月1日でした。サウジ政府は2024年までに地域本部を持たない国際企業との取引を停止すると発表しました。これにより、サウジアラビアには400社を超える国際企業が地域本部ライセンスを取得しました。

ブラックロックの参入

ゴールドマン・サックスだけでなく、世界最大の資産運用会社ブラックロックもサウジアラビアの首都リヤドに事務所を開設しました。ブラックロックは、同国の公共投資基金(PIF)からの50億ドルの資本を基盤とする投資会社を設立し、サウジアラビアの「ビジョン2030」の実現に向けて重要な役割を果たすことになります。

規制環境の課題

サウジアラビアの規制環境にはまだ明確さを欠く点が多く、多くの多国籍企業が懸念を示しています。例えば、税制優遇措置の詳細は昨年12月にようやく明らかにされ、移転期限のわずか1か月前でした。リヤドのキング・アブドラ金融地区には独自の規制当局がなく、金融機関はサウジ中央銀行と資本市場庁によって規制されています。

まとめ

ゴールドマン・サックスがサウジアラビアに地域本部を開設する許可を取得したことは、同国の経済改革と金融市場の深化において重要な一歩です。サウジアラビアは、UAEに対抗しつつ、外国資本を積極的に誘致し、資本市場のさらなる発展を目指しています。ブラックロックなど他の大手金融機関もサウジアラビアへの進出を進めており、「ビジョン2030」に向けた取り組みが加速しています。しかし、サウジアラビアの規制環境にはまだ課題が残っており、これらの問題を克服することが、今後の成功の鍵となるでしょう。

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